カルト問題

カルト問題について

宝林寺ホームページの中で、現在もっとも閲覧数が多いのがこの“カルト問題”のページです。住職としては、やや複雑な思いですが、この問題に関心を持たれている方が予想以上に多いということなんでしょう。

記事を思いつきで書くうちに、やたらと長いペ-ジになってしまったので、簡易的なINDEXを作りました。読みたい記事にジャンプすることができます。

◆岡崎教区15組 カルト問題学習会を行いました。

◆危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(1)

◆危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(2)エホバの証人

◆危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(3)浄土真宗親鸞会   NEW!

◆危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(4)念仏宗無量壽寺

◆おすすめのカルト関連の書籍など 

◆宗教2世問題について NEW!

◆当事者に聞く「マインドコントロール」の実態 NEW!


岡崎教区15組 カルト問題学習会を行いました。

岡崎教区15組 カルト問題学習会を行いました。

【期 日】2020年1月30日(木)午後2時~4時

【講 師】瓜生 崇 師(滋賀県東近江市 玄照寺住職)



 穏やかな冬晴れとなったこの日の午後、岡崎教区15組のカルト問題学習会が当山を会場に行われました。ここ数年、組の青壮年向けの行事としてさまざまなテーマで公開講座を企画してきましたが、今回は主に組内住職を中心としたこぢんまりとした学習会でした。


 瓜生先生は在家出身で、学生時代から浄土真宗親鸞会と関わり、かつて10年以上にわたり幹部会員として活動してこられた経歴をお持ちです。現在は縁あって大谷派寺院の住職をされています。その一方でカルトからの脱会支援の活動もされておられるという、この国における数少ないカルト問題の専門家の一人です。今回は先生がこれまで100人以上のカルト被害者の方と向き合い、カウンセリングをおこなってこられた経験からの貴重なお話を伺うことができました。

 日本におけるカルト教団といえば、“坂本弁護士一家殺害事件”や“地下鉄サリン事件”を起こしたオウム真理教を誰もが思い浮かべます。しかしこれは私(知見)の年代までは常識的なことですが、最近は、先生が各地の大学でカルト問題の特別授業を行う際に、元教祖の麻原彰晃の顔写真を見せても知らない人がほとんどなのだそうです。地下鉄サリン事件が1995年(平成7年)ですから、もう25年も経つので、今の学生たちが知らないのは当然かもしれません。これは私たちの年代が“あさま山荘事件”や“よど号ハイジャック事件”をほとんど知らないのと同じことだといわれます。そんな中で、今は「アレフ」と名前を替えて活動しているオウムの後継団体に、毎年100人を超える若者が新たに入信しているのだそうです。今でもカルト問題は確実に継続しています。

 先生はこれまで10年以上にわたって各地でカルト問題の講演をされてきたそうですが、特にアレフの道場の近くでの講演では、後で主催者によく言われるのは「もっとカルトの異常さや危険性を強調して欲しかった」という一言なのだそうです。私たちは自分の理解を超えたものごとに出会うと、その異質さばかりに目が行き、「彼らは異常だ」とレッテルを貼ることによって自分たちは正常だと安心したいという気持ちがあります。しかし先生はそれではカルト問題の本質を見誤るといわれるのです。

 カルト問題の本質は、その集団の見た目や行動の異様さなどではなく、「決して間違わない正しさへの依存」だといわれ、それは誰でも持っている感覚であり、それ故に誰もがカルトに取り込まれたり、あるいは自分たちの集団がカルト化する可能性は常にあるということだと思います。

 ある時、先生が広島の呉での講演の後、白髪のがっしりした体格の男性が控え室を訪れ、「今日のお話は自分の経験と照らしても非常に納得できる内容だった」と言われたそうです。彼は元海上自衛官で、護衛艦に搭乗する任務に就いていたのだそうです。護衛艦の勤務は、一度港をを出るとしばらくは帰ってくることはなくて、海の上で集団生活をしながら一所懸命訓練するのだそうです。そこでは「日本の領海の安全を守る」という誰もが反論できない正しい理念を錦の御旗のように共有することになります。そうなると、その正しい理念に対する姿勢をいかに徹底できているかが、常に問題となるそうです。そのことに前向きになれなかったりする者が居ると、そこでは必ず嫌がらせやイジメが行われるというのです。これは昔の帝国海軍でも自衛隊でもまったく一緒だと。そういう現場をたくさん見てきたので、何か人間の心理の構造上、決して逆らえないというか、人間が集団となった時にどうなるかという怖さは非常によく分かると言われていたそうです。

 誰でもそういう状況になれば同じような行動になるといえるし、もちろん私も同じ状況ならば決して例外ではないだろうと思います。これは会社であればパワハラやモラハラ、ブラック企業の問題となるし、原理主義のテロ集団や、もっと言えば天皇を中心とした国家神道を推し進めた戦前の日本も同じ構造だといえるでしょう。

 その「正しさ」の内容というのは何でも良くて、例えば純粋に人を救いたいという思いや、反原発だったり災害ボランティアだったりさまざまな差別への反対だったりと誰もが反論できないものです。集団の外部がそれを受け入れられず対話の機会を失ってしまった場合、外部との壁を作って先鋭化し、敵意となって暴走してしまう恐れがあるといわれます。これはカルト集団の典型的な展開で、南米ガイアナで起こった人民寺院の悲劇や(1978年)、オウム真理教の元信者たちの手記からも覗われるというのです。

 そう言われてみると、この一連のページは、もともとカルト問題の被害に遭わないための注意喚起を目的として書き始めたのですが、どこかでカルト団体と言われる彼らを異質な存在と見なし、なるべく近づかないように彼らとの相違点をあげつらい壁を作るような意識で書いていたような気がします。私自身が正義の立場に立っているわけで、相手を許容できないということですから、対立を煽っていることになるかもしれません。

 今回、瓜生先生のお話を伺い、カルト問題の解決とはどういうことを指すのか考えた場合、これまでは漠然と「迷っているカルト信者を正しい私たちの世界に引き戻す」ことだと思っていた気がします。しかしそういう方向は誤りではないかと言われるのです。自分の正しさを相手に押しつけているという点では、どちらの側もかわりないわけで、「正しいつもりの私」から一歩ふみだし、お互い相手に歩み寄ることから模索してみるしかないように思いました。これは家族がカルト団体に入ってしまった場合、特に大切な点だと思います。

 本当にこの問題は奥が深く、今回の学習会で、多くの宗教の専門家たちが本物の仏教だと認めたオウム真理教の初期の頃や、親鸞会の若者たちの様子を改めてお聞きしてみると、少なくとも道を求める真剣さという点では、私よりよほど彼らの方がまっすぐであり、彼らから見れば私の所属する伝統教団の方がよほど世俗化しており、真剣に道を求める人から敬遠されるというのもなるほどと思いました。

 カルト問題は、阿弥陀如来から、倶会一処する世界を願われている浄土真宗を掲げる私たちにとって、これからも考え続けていく必要のある課題だと思いました。
瓜生 崇 師。カルトに関わってしまった人たちに対する共感や、真宗に対する深い信頼を感じました。
こうなると普通に真面目ないい人ですよね。
家族や友人がカルトに入ってしまったら、頭ごなしに否定したくなりますが、関係性が壊れることが一番問題だと言われます。
このあたりは、真宗の“凡夫に帰る”と重なりますね。

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(1)

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(1)

(※このコーナーの最新の記事は、このページのいちばん下になります。)
 
 こういうタイトルの記事をアップするのは、憲法による信仰の自由が保証されているこの国において、これまでは単に競合する他の宗教団体に対する誹謗中傷と取られてしまう可能性があるのではないかと思い躊躇していました。


しかしオウム真理教による1995年の地下鉄サリン事件以後、世間では「宗教は危険だ」というイメージが浸透してしまい、宗教について語ること自体がタブーとなってしまったように感じます。その結果、まったく宗教に対する免疫もないまま、偶然カルト宗教といわれるような団体に入信し、大切な財産を奪われたり、友人関係や家族の崩壊にまで発展してしまう例が、実際にこの地域でも起こっているのです。そのようなことを知っていながら、何も言わないのも無責任なのではないかという思いがしていました。


さらに最近、Facebookの友だちの投稿で「こんなチラシがポストに入っていました」と新宗教の勧誘チラシが画像付きで紹介されているものがあり、それを見た別の方が「参加したいです!」と無邪気にコメントしているのを見て、危険だなと感じたのも理由の一つです。


以上のような訳で、これまで私自身が勧誘された体験談や、当山の檀家さんが新興宗教に関わった結果、残念ながら離檀されていったことなどについて書いてみたいと思います。新宗教の中には、統一教会やオウム真理教の後継団体、創価学会などこれまで新聞や週刊誌の報道でその危険性がある程度認知されている団体も多いですが、このページでは、まだそれほどニュースになっておらず、危険性が世間に認知されていない団体について、何回かに分けて書いてみようと思います。


※ 以下「
カルト宗教とは|危険でやばい教団の見分け方はココ!」というサイトより引用

カルト宗教(危険宗教)の定義

フランスで採択された報告書『フランスにおけるセクト』は、「通常の宗教か、セクト(破壊的カルト宗教)か」を判定する国際的な指針の一つとされています。この中で、以下のように「セクト構成要件の10項目」を列挙しています。

1.精神の不安定化 (洗脳、マインドコントロール)
2.法外な金銭的要求 (多額の寄付金要求)

3.住み慣れた生活環境からの断絶 (監禁、出家など)
4.肉体的保全の損傷 (暴力:精神的暴力も含む)
5.子供の囲い込み (子供の洗脳教育)
6.反社会的な言説
7.公秩序の攪乱
8.裁判沙汰の多さ
9.従来の経済回路からの逸脱
10.公権力への浸透の試み


以上の項目のいずれかにあてはまる団体を、セクトとみなしています。「創価学会」は、10項目すべてに該当し、しかも、フランスだけではなく、ドイツ、チリ、ベルギー、オーストリア、アメリカ(議会下院)といった国々でもセクト指定されています。
(出典: Wikipedia、古川利明『カルトとしての創価学会=池田大作』)


「エホバの証人」のような、輸血・予防接種・臓器移植を禁止して、生命をもって聖書に忠誠を誓う人命軽視の教理、愛を説きながら多くの家庭の破壊をもららした条件付の愛、脅迫的なマインドコントロールによって洗脳する点は、十分に破壊的カルトの条件を満たしているといえます。
(出典:エホバの証人情報センター)

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(2)

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(2)

①エホバの証人(ものみの塔聖書冊子教会、王国会館)


アメリカ ニューヨーク州に本部を置く世界的な組織です。輸血を拒否する独特の生命観を持つことで有名です。活動としては、独特で上品なファッションに身を包んだ男女や、子ども連れがアポ無しで訪ねて来て、『ものみの塔』とか『めざめよ!』というタイトルの冊子を配布しています。冊子は無料ですが、読んでみても共感できないというか、私にはほとんど意味が分かりませんでした。宝林寺にも以前はよく来られ、時間のある時に少しお話を聞いたら、何度も訪ねて来るようになってしまったことがあります。しつこく勧誘をするわけでもなく、冊子を配るだけなので、それだけなら特に危険な感じはしないかもしれません。


しかしこの団体が問題だと思うのは、学生をターゲットにした、教団の名前を出さない偽装サークル勧誘です。私は京都で学生時代に一人暮らしをしていたのですが、ある時、見知らぬ若い女の人がアパートに尋ねて来て「学生さんですか?いろんな大学から有志が集まって人生について一緒に勉強するサークル活動をしているんですが、よかったら一度私たちのクラブへ見学に来ませんか?」と誘われました。その時はバイト前で時間がなく断ったのですが、ちょっと優しそうなお姉さんだったので(笑)、また会う約束をしてその時は帰しました。


後日、そのお姉さんと、もう一人サッパリとした感じの好青年が一緒に訪ねて来て、彼の運転する車で「王国会館」と書かれたテナントの一室に行きました。(その当時はエホバの証人という宗教団体だということは知りませんでした。)その時、お茶菓子代として500円払いました。(無料でなく少額でも自分で支払うというのも、主体的に自分で選んだという意識になるように、何か計算されている気がします。)


部屋にいた3~4人の学生と一緒にお茶とお菓子をつまみながらお互い自己紹介をしました。学校は京都産業大学、同志社、立命館とみんなバラバラで、「学校を超えた友だちができるし、人生について一緒に勉強する楽しい集まりですよ」などと言われ世間話などをした後、大学教授のような人が出演している自己啓発もののようなビデオを見せられました。「夏には、2泊3日とか1週間の合宿があるから、より親密な付き合いができますよ。一緒に参加しませんか?」と誘われましたが、ビデオの内容にどうも共感できなかったのできっぱりと断ったので、この人たちとはそれ以降、会うことはありませんでした。その後、彼らからしつこく付きまとわれたりということもありませんでした。


この一件では、幸い特に何か被害を受けたわけではありません。でもちょっと条件が変わっていたら私もサークルのメンバーになっていたかもしれないと思うのです。私の場合、たまたま大谷大学で仏教を学んでいたので、ある程度、宗教的なことに対して免疫ができていたのかもしれません。ビデオの内容はもう覚えていませんが、見せられてもまったく響くところがなく、一緒にビデオ鑑賞をした他の方たちに対して、批判的な物言いをしていた記憶があります。

以前、藤場俊基先生が、カルト教団によるマインドコントロールが社会問題としてニュースでよく取り上げられていた頃、「すでに宗教を持っている人には、宗教のワクチン効果ともいえる作用があるのではないか」と言われていたのを思い出します。宗教とは何を問題とし、どういう利益(りやく)がもたらされるものなのか、そういう枠組みがある程度分かっていれば、たとえば「超能力で空中浮遊できる」とか、「この宗教を信じる者は死んだ後でも死後硬直しない。これが成仏の何よりの証拠だ!」など荒唐無稽な言説に踊らされないということは言えるかもしれません。


それから私は、もともと大学1年の時に、学校の寮に入っていたので、この時には親しい友だちがすでに何人もありました。なので特に新たに友だちを欲していたりとか、孤独を感じたりしていたわけではありませんでした。これも良かった点だと思います。一人で見知らぬ土地へ来て、なかなか友だちができなかったりとか、あるいは失恋直後など、より孤独を感じている状況だったりしたら、また違ったかもしれません。


実は、こういった宗教団体の名前を伏せた偽装サークルの勧誘というのは、エホバの証人以外でも多くの新宗教団体がやっています。一人暮らしの寂しさから、いつの間にかカルト教団に取り込まれ、マインドコントロールされてしまえば、家族の言葉も耳に入らなくなってしまいます。マインドコントロールを解き、社会復帰するのは容易ではありません。


苦労して志望の大学に入ってホッとしたのもつかの間、大事な我が子が危険な宗教に足を踏み入れてしまったなどということのないように、親の側もその危険性についてよく認識し、家族でもよく話し合っておく必要があると思うのです。

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(3)

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(3)

②浄土真宗親鸞会(株式会社1万年堂出版 株式会社チューリップ企画)


Wikipediaには、次のような記述があります。

浄土真宗親鸞会(じょうどしんしゅうしんらんかい)は、1958年(昭和33年)に発足した、仏教系新宗教のひとつ。親鸞会は新宗教と呼ばれるのを好まず、自らを、浄土真宗の宗派の一つであると主張し、今日の本願寺は親鸞の教えから逸脱していると批判している。一方、伝統的な浄土真宗系各宗派は教義の解釈の違いから、親鸞会を異端とみている。主として、組織的に偽装した布教方法を批判されることがあり、カルト問題と関連付けて議論されることがある。

元浄土真宗本願寺派僧侶である高森顕徹が設立し、代表を務める。本部を富山県射水市(旧射水郡小杉町)に置く。関連会社として1万年堂出版、チューリップ企画などがある。同会の会員数は約5万人[1](1980年(昭和55年))とも約10万人[2](1997年(平成9年))という報道もある。



私自身は直接勧誘を受けたことはないのですが、親鸞会は、以前からこの地域でも活動している新宗教団体です。昔はご門徒の家を回り『世界の光 親鸞聖人』などのビデオ教材を売り歩いていました。ご門徒にしてみれば親鸞聖人という名前を出されれば浄土真宗のお寺と関係があると勘違いして、購入された方もありました。「亡くなったお婆ちゃんが買ったんだけど、私は見ないから」ということでお寺に持ってみえた方もありました。



最近の活動は、各地の市民会館などで「親鸞聖人に学ぶ会」などという団体名で学習会をおこなったり、映画『なぜ生きる』の上映会などをおこなっています。実は私も、新聞に折り込み広告にチラシが入っていたので、知立市のパティオ池鯉鮒という文化会館でおこなわれた上映会に行ってみました。映画の内容は蓮如上人の吉崎時代の伝説、「本光坊 腹ごもりの聖教」というエピソードを描いたもので、特に可もなく不可もなしという内容でしたが、この団体の特徴としては「親鸞会と名乗らない」という姑息な手法をとっていることです。

これは昔から一貫していて、先に挙げたビデオ販売や、学習会、頻繁に新聞広告を出す高森顕徹氏の著書を扱う1万年堂出版でも、「浄土真宗親鸞会」という名前を伏せているのです。これは明らかに東西本願寺のご門徒を勘違いさせる意図があると思います。実際、私が毎月お参りに伺うお宅の奥さんも、安城のアンフォーレという新しくできた図書館を会場とした上映会に友だちを誘って参加したそうです。

一つ注意いただきたいのですが、市民会館や市の文化センター、図書館は、申し込めばどんな団体でも使用することができます。お堅い印象の会場でおこなわれているからといって、市がその団体の内容にお墨付きをあたえているわけではありません。私たちも、以前は市民会館の会議室で輪読会をしていましたが、数百円という使用料の安さでした。


もと親鸞会の幹部会員で、いまは滋賀県の真宗大谷派寺院の住職をされている瓜生崇さんの「なぜ私は親鸞会をやめたのか」というHPでは、大学でのダミーサークルを使った学生の勧誘についてや、その活動実態が詳しく述べられています。一読して、想像以上によく勧誘対象のことを研究して、システマチックに取り込みを図っていることに驚かされます。入試の合格発表の時期から、親切な先輩を装って接近しているとは思ってもみませんでした。ぜひご覧いただきたい内容です。

また、日本脱カルト協会のHPでは、カルトとは何か?という問いに対し次のように書かれています。



Q1 カルトとはどういう団体なのですか?

カルトは人権侵害の組織です。組織に依存させて活動させるために、個人の自由を極端に制限します。つまり、全体主義的集団です。そして、①各メンバーの私生活を剥奪して、②集団活動に埋没させる。そして、③メンバーからの批判はもちろんのこと外部からの批判も封鎖し、④組織やリーダへの絶対服従を強いるといった特徴がみられますが、これらの特徴は表面的には隠されていますので、集団の外部から見ても区別がつかないことがふつうです。カルトは、こうした人権侵害の正体を隠すためにマインド・コントロールを用いることが多いです。



Q2 マインド・コントロールとは何でしょうか。

つまり心理操作ですが、基本的に情報を操作して、個人の抱く①自己観、②理想とする自分、家庭、社会、世界の見方、③人生の目標、④非科学的な自然や宇宙の因果法則や歴史観、⑤善悪や正誤の基準となる情報源などが歪められて、今の社会を否定して見きってしまうように仕向けられます。



すでに教団の活動に参加されてみえるならば、一度、冷静に上記のチェックリストと照らし合わせてみるとよいかもしれません。案外、私たちの身近な所でカルト団体との接点は用意されているのです。私自身、お聖教の言葉の意味をインターネットで検索して調べることがあるのですが、浄土真宗の言葉で検索すると、上位に親鸞会関連のサイトが上がってきます。それだけよく閲覧されているということだし、内容も分かりやすいので「ふ~む、そういう意味だったのか」と教えられることもおおいです。

また1万年堂出版の『光に向かって100の華束』や高森顕徹氏の『歎異抄をひらく』など、一般の人が書店で親鸞聖人の本を求めようとすると、親鸞会関連の書籍の方が手に入りやすいという現実があります。親鸞会は、東西本願寺よりも、消費者目線でよく研究しており、かゆいところに手の届く仕組みを作っているということです。なので正体を明かさず活動している点が、より悪質だと思うのです。

◆「親鸞会」を名のらずに活動しているセミナーの一例です。
 こういうHPの作り方などは、私達も学ぶ点は多いと思います。
 仏教って何?~名古屋で仏教が学べる講座~

◆“ケモノガタリ”って何?
 最近、アクセス解析のGoogleアナリティクスで、どういう検索キーワードを用いて当ホームページを訪れているか調べてみたら、見慣れない“ケモノガタリ”という言葉があるのに気づきました。ネットで情報収集してみたら、どうやら親鸞会の関連会社「1万年堂出版」と関係があるようです。
 内容は動物のかぶりものをした大学生3人が、哲学っぽい雑談をしているyoutube動画です。なかなかオシャレでポップさがあり、嫌みがありません。そこそこお金をかけて制作している感じで、こういう動画を作れる人たちがいるのは強みだと思います。
 私たちの真宗大谷派では、たとえば本山や各教区で何か作る場合、おそらく会議を開いて企画を練り、その上で権威のある先生に監修してもらうと思います。結局、どこからも突っ込まれないような安全な作品にしようという力がはたらいて、こういう面白みのある作品はたぶんできないだろうと思います。
 ケモノガタリは、完全な動画作品が見られるのは第一話のみで、第二話以降はLINEで友だち登録しないと見られない仕組みになっています。なかなか巧妙なしかけですね。
 相変わらず親鸞会と名乗らないのは問題だと思いますが、こういう仕組みなどは、新興の教団から学ぶべきなんでしょうね。

“某宗教が布教目的でYouTubeに投稿した動画『ケモノガタリ』に対する、ケモナー界隈の反応”

(2020年10月29日)
安城市民会館で行われている学習会のチラシ。はっきり言って良くできていると思います。でも親鸞会を名乗らないのはダメでしょう。
ご門徒さんが「昔、お婆ちゃんが買ったものだけど」とお寺に持ってこられたVHSビデオ。
『なぜ生きる』上映会で配られていたクリアファイル。中には勧誘チラシなどが入っていました。やはり親鸞会という名称は伏せられていました。

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(4)

危険です!名前を伏せて勧誘活動をおこなっている新宗教(4)

③念仏宗無量寿寺(念佛宗三寶山無量壽寺・佛教之王堂)


今回の一連の記事で、実はいちばん書きたかったのがこの「念仏宗無量寿寺」という団体についてです。もともと1960年代に兵庫県の芦屋で、サイコロ占い師として富裕層のご婦人の間で人気を博してした久世太郎という人物が、30年ほど前に開祖となって始めた仏教系新宗教です。知名度は高くないですが、10年ほど前、兵庫県加東市に「佛教之王堂」という巨大教団施設が完成した時、全国紙に見開きの広告を出していたので覚えている方もあるかもしれません。この地域でも確実に浸透し勢力を伸ばしていて、実は当山の檀徒の方も、この教団と関わったことにより、残念ながら2軒の方が離檀されました。

ネットで「念仏宗無量寿寺」で検索すれば、その実態の一部を垣間見ることもできますが、歴代の教団の理事長(責任役員)には、経済界の著名人が多く名を連ねています。この地方を代表する大手スーパー、ユニー創業者の西川俊男氏もその1人です。またニトリ創業者の似鳥昭雄氏も理事の一人として関わっているという情報もあります。

建造物は度胆を抜かれるほど巨大で立派な上に、タイやカンボジアの王族や高僧が参詣されたりと、権威を高めることに専心しているような印象です。この巨大建築に500億とも600億ともいわれるお金がつぎ込まれたそうです。この不景気の時代になぜそんなに資金が潤沢なんでしょうか?


それは、一言でいえば富裕層を勧誘のターゲットにしているからです。しかも医師会、税理士会などの業界がらみや、青年会議所(JC)のつながり、親会社、得意先など仕事上の関係を巧みに使って断りづらい相手が声かけをしているようです。当山を離檀した2軒も病院経営者(Aさん)とレストランのオーナー(Bさん)でした。

Aさんは、名古屋在住の医師で、都心で5階建ての病院を運営していました。10数年前にこの教団に入信したようで、今から考えると、見事にこの教団のマインドコントロールにはまっていました。その時は、私もこの教団のことはまったく知りませんでした。

「善知識」という仏教用語があるのですが、もともとの意味は「私が仏道を歩むきっかけとなった人」というような意味です。親鸞聖人でいえば法然上人が善知識に当たります。この教団は、幹部の一人を「この方こそ、真の善知識だ」と呼称しているようで、教団名は伏せて「38万支払って京都で2泊3日の研修に参加して、善知識のお話を聞けば必ず救われる!」というように勧誘されるようです。多くは仕事上の付き合いで断れずに入会されるようですが、(「イヤイヤ会員」と言うそうです)、Aさんは真面目な方で、この研修で教団の教えに心酔してしまったようでした。

ある時、私がお参りに伺った際、教団で教えられたのか蓮如上人の書かれた『御文』を私に見せて「ここに善知識に遇わなければ救われないとありますよね?」と質問されました。しかしこの部分は、「五重の義」ということが書かれている部分で

一には宿善、二つには善知識、三つには光明、四つには信心、五つには名号。この五重の義成就せずは、往生はかなうべからずとみえたり。されば善知識というは、阿弥陀仏に帰命せよといえるつかいなり。宿善開発して、善知識にあわずは往生はかなうべからざるなり。しかれども、帰するところの弥陀をすてて、ただ善知識ばかりを本とすべきこと、おおきなるあやまりなりとこころうべきものなり。(『御文』2-11)

とあるように、Aさんの主張されることとはまったく逆で、「善知識だのみの異義」を戒める内容になっています。しかしAさんは、いくらそう説明しても納得されませんでした。

Aさんはその後、元々この教団のことを嫌っていた奥さんとも離婚し、当山からも離檀して先祖代々のお墓も撤去され、病院も教団に明け渡してしまいました。健康を害して最後は施設でひっそりと亡くなられたと聞きました。

Bさんの場合はご本人ではなく、跡取りの長男と歯科医をしている次男が入信してしまいました。おそらく次男の歯科医ルートから勧誘されたのではと想像しています。数年前にAさんのことがあったので、私もこの教団のことを調べ、久世太郎の過去について書かれている週刊誌の記事のコピーや、ネットで集めた教団の情報などを送ったりして説得を試みたのですが、「そうは言っても、私としては息子について行くしかないじゃないですか!」と強い口調で言われました。その後やはりお墓を撤去されて離檀していかれました。その後、別の親戚の方のご法事で顔を合わせる機会がありましたが、レストランは閉店されたとのことでした。

今から考えると、専門家に相談するなどもっとやり方があったかなと思います。しかし当時は自分で何とかしなければと思い結果的に残念な形で終結してしまったことを今も後悔しています。


今もこの教団は、岐阜県や静岡県で教団施設を作ろうとして周辺住民と関係をこじらせて訴訟問題になっています。また元信者とも幾つか係争を抱えているようです。しかし以前に取り上げた他の団体と違って「念仏宗被害者の会」というような団体をネットで確認することはできませんでした。どういうやり方をしたか分かりませんが、被害者の会を組織する動きを封じられたような情報もあります。

潤沢な資金はあるし、喧嘩慣れしているような印象もあって、他の団体とは一線を画した得体の知れない怖さを感じます。くれぐれも得意先の社長などから「38万円で京都へ研修に行こう」というような誘いがあったら、気をつけて下さい。

【関連リンク】

「大阪Deep案内(謎の巨大宗教施設・兵庫県加東市「念佛宗無量壽寺・佛教之王堂」)」

「やや日刊カルト新聞」(無量寿寺が抗議? 加東市市議がブログのコメントを全削除)

「やや日刊カルト新聞」(念佛宗無量壽寺、反対運動の住民相手に完全敗訴確定 )

「新興宗教の集まりに行ってきたよ!」

「Yahoo!知恵袋(念仏宗 無量寿寺についてお聞きします)」

真宗大谷派 青少幼年センター(大谷派のカルト問題の窓口です)

全国紙にこのような見開きの広告が出されているのを覚えていませんか?
黄色い枠の中が教団関連の建物群です。なんと敷地面積は甲子園球場39,1個分だそうです。隣のゴルフ場と比べてもほぼ同じ広さですね。
大谷派のカルト対策のパンフ(表面)
大谷派のカルト対策のパンフ(裏面)

おすすめのカルト関連の書籍など

おすすめのカルト関連の書籍など

 実は、当山のHPにカルト問題の記事を書いてからアクセス数が急増しています。アクセス解析で、どういう検索キーワードで当HPに辿り着いたか調べてみると、上位は全てカルト関連のキーワードでした。また「ヤフー知恵袋」などで、「家族がカルト教団に入ってしまい、どう対応したら良いのか教えて欲しい」とか「◯◯という教団は、危険なカルト団体でしょうか?」という質問はとても多いです。カルト問題は多くの方にとって切実な課題となっているといっていいと思います。


 当山にも時々、電話やメールでこの問題について問合せが来るようになりました。しかし残念ながら、私自身はカルトの専門家でも元カルト信者でもないので、お話を伺うことくらいはできても適切なアドバイスやカルト団体からの救出ができるわけではありません。ネットなどでは「教団に退会の意思を伝える内容証明郵便を送付すれば退会できる」との情報もあり、確かに形だけは脱会できるのでしょうが、実際にカルトから退会した方のお話を伺うと、むしろ脱会してからの社会復帰の方がより困難で、中にはせっかく脱会しても社会に適応できずにまた元のカルト教団や、また別のカルトに入信してしまう方もあるそうです。


 そこで、この問題に関心を持っておられる方のために、おすすめのカルト関連の書籍をご紹介したいと思います。どの本も読み進めていくと、ほんとうにこの問題は奥が深いなぁと痛感します。図書館でも借りることができるものもあるので、ぜひお読みいただければと思います。


1.『カルトからの脱会と回復のための手引き』 日本脱カルト協会(JSCPR)編
 家族だからあきらめない ── 大切な人を守りたい オウム事件以降、いったんは下火になったものの、近年、再び増え始めたカルト団体は、社会経験の少ない若者などをターゲットにし、静かな「ブーム」になっています。
 本書は、多くの実例をもとに、宗教カルトや悪質なセミナーからの脱会の方策と離脱した後の回復、そしてカルト団体についての知識と予防などを述べたものです。カルト問題の実務家の経験と研究者による知見をまとめた集大成であり、カルト対応の最良の手引きとして、また、カルト研究の概説書として有用なものとなっています。
 悩んでいる本人や家族だけでなく、カルト問題の多発する大学・教育関係者・学生相談や真理専門職の必携の一冊。きっと光が見えてくるはずです。
 
2.『解毒』エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記 坂根真美 著
 輸血や臓器移植を拒否することなどで知られる「エホバの証人」の家庭に育った、いわゆる二世信者の女性が、みずからの脱会の体験を赤裸々に綴った手記です。先に紹介した『カルトからの脱会と回復のための手引き』によると、一口にカルト教団からの退会といっても、3つの形があるのだそうです。
【脱会のパターン】
①自力でグループを離れた場合。(「ウォークアウェイ」と呼ばれる)
②グループから脱落した場合と追放された場合。(「キャスタウェイ」)
③家族との話し合いや脱会カウンセリングを受けて、脱会を決意した場合。
 これらのうち深刻な後遺症を抱える可能性があるのは②だと言われているそうです。著者は、パートナーの不貞以外での離婚を禁じるエホバの証人の掟を破り、夫のDVが原因で離婚ました。さらにエホバの証人の掟の中でも絶対に許されないとされる、別の男性と「再婚」をしたため排斥処分を受けます。

 排斥処分になると、信者である家族や友人との一切のコミュニケーションを禁じられ、生まれた時から29年間を過ごしたコミュニティーを奪われ、しかも脱会しても洗脳が解けていないので、「神と教団を裏切った罪により地獄に堕ちる」という恐怖に苛まれることになります。心を病んで入院し、そこでたまたま出会った主治医から「自己変革をするように」というアドバイスを受け、長い時間をかけて洗脳から回復することができたそうです。


 カルト信者のメンタリティや、教団がどういう仕組みで信者を支配するのかというメカニズムが克明に書かれていて、その巧みさに驚嘆させられます.二世信者の著作は多くないそうなので、他のカルトの二世信者の心理を理解するのにも手助けとなりそうです。


3.『マインドコントロールの恐怖』 スティーブン・ハッサン著 浅見定雄 訳
 統一教会から悪徳商法まで・・・あなたの〈心〉が狙われている!・・・
ある日突然襲ってくる破壊的カルトの魔の手から、あなた自身や家族を守るにはどうしたらよいのか!統一教会の幹部だった著者が、自らの体験と心理学をもとに開発し、実践する「強制を伴わないカウンセリング」による「脱会」の手引き。
── 心を奪われている人々の家族にぜひ読んでもらいたい ── 飯干晃一


 カルト関連本の中でも古典の部類に入る書籍です。20年以上前、歌手の桜田淳子や新体操選手だった山崎浩子などの芸能人が広告塔となって信者を獲得する手法や、合同結婚式などで統一教会が社会問題となっていた頃、初めて「マインドコントロール」という言葉が世間に認知されました。

その当時、私の同級生の弟が統一教会に入信してしまい、脱会カウンセラーによってマインドコントロールを解かれて救われたという事がありました。私は直接関わりはありませんでしたが、この本を手にとって、マインドコントロールは意志の弱い人がかかるのではなく、誰もが状況さえ整えば簡単に支配されうることを知り、大変衝撃を受けたことを覚えています。統一教会以外にも、多くの団体の事例が掲載されています。

4.『なぜ人はカルトに惹かれるのか ── 脱会支援の現場から』 瓜生 崇 著
 このコーナー冒頭の、「岡崎教区15組カルト問題学習会」の講師をお願いした瓜生崇さんが最近出版された本です。浄土真宗親鸞会とどう出会い、どういう活動をして、なぜ脱会したかという経緯や、現在カルトからの脱会支援をして行く中で見えてきたことなどが丁寧に書かれています。

 図らずも親鸞会へ勧誘する側と、脱会支援をする側という二つの立場を経験することになった貴重な体験から、信者の思考、脱会する時の恐怖心、家族の哀しみや脱会後の社会復帰における問題点など、誠実な筆致で書かれておりとても読み応えがあります。

 瓜生さんは、現在は真宗大谷派の住職をされていますが、アレフや親鸞会といった団体の問題点を厳しく指摘されるとともに、彼らは伝統教団にはない真実に対する純粋さと情熱をもっていることも伝えています。真宗大谷派も含めて伝統教団は彼らの期待にまったく応えられていないし、最近よく聞かれる「お寺に人が来ないから活性化しなければ!」という発想も世間に迎合するのではなく、もっと根本的なところから考えてみる必要を感じました。(2020/06/12 追加)

読売オンラインに掲載された書評はこちら


※おまけ カーリル 日本最大の図書館蔵書検索サイト

※動画

TBC「カルト宗教の実態①」(2019.7.2)


TBC「カルト宗教の実態②」(2019.7.3)

※リンク 

横須賀ロータリークラブ「 仏教の奉仕の心 」
大明寺 住職  楠 山 泰 道 さん

真宗大谷派青少幼年センター
(本山のカルト問題の担当部署です)

カルトについて| 真宗大谷派東京教区

カルト問題|東別院(pdfファイル)
(名古屋東別院が作成した冊子です)

宗教2世ホットライン
 
このサイトを立ち上げた、元統一教会2世の渡辺みきさん(25歳)が、自身のツイッターで、元宗教2世の方々を対象にアンケートを募集したところ、なんと12日間で234件もの回答が寄せられたそうです。自分と同じような境遇で、悩みを抱えている人は予想以上に多いと感じたそうです。
 特に「宗教2世問題とは」というコーナーにある『宗教2世問題と支援の展望 ~彼らは何に悩み、何を求めているのか~』は、2時間を超える動画ですが、非常に丁寧にアンケート結果の分析がなされています。当事者やその家族の方だけでなく、カルト問題に関心のある方は、とても参考になると思うのでぜひご覧ください。(2020年9月11日追加)

JSCPR 日本脱カルト協会
 当会は破壊的カルトの諸問題の研究をおこない、その成果を発展・普及させることを目的としたネットワークです。心理学者、聖職者、臨床心理士、弁護士、精神科医、宗教社会学者、カウンセラー、ジャーナリスト、そして「議論ある団体」の元メンバーや家族等により構成されています。(代表理事 西田公昭、事務局長 太刀掛俊之) (2020年9月11日追加)


最新号の寺報にも、注意を促す記事を書きました。

宗教2世問題について

宗教2世問題について

 宗教2世問題は、先に紹介した『解毒』もそうですが、最近は当事者の体験を綴った本やマンガがいくつも出版されるなどメディアでも注目されつつあるようです。また私自身、寺生まれ寺育ちなので、生まれた場所が宗教に関わる家だったという点で、少し共通点も感じています。(私は15世になります(^^))

 これまで、宗教2世の方との接点はと思い出してみると、高校時代に一人の創価学会2世のクラスメイトがいました。彼は、私が浄土真宗の寺の息子だと知ると、自分が教団の“高等部”というところで活動していることを伝え、そこで使っているというテキストを見せてくれました。それは創価学会以外のさまざまな宗教団体のダメなところが書かれていて、「浄土真宗は◯◯だからダメだね」と勝ち誇ったように言われ、ムカッと来た覚えがあります。

 宗教に心酔すると「私は真実に出あった」という高揚感と、他者に対しては「まだ本当の教えに出あえていないかわいそうな人々」という見下すような感覚になるものなのかもしれません。これは、宗教だけではなく、実は私も学生時代にバイト先の仲間から誘われて少しだけかじったことがあるのですが、アムウェイなどのネットワークビジネスにはまっている人からも感じる匂いです。

 宗教2世ホットラインの 「宗教2世問題と支援の展望」動画を観ると、2世の方は生まれた時から宗教が中心の環境に育ち、もし脱会するならば、親や友だち、これまでの自分の歴史まで否定したりすることになるので、自分で選んで宗教に入信した方とは、また別の困難さがあることが分かります。誰にも相談できず自分一人で問題を抱え込み、教団の言うことはおかしいと思いつつも結局は脱会することができない方も多いということです。

 少し話がずれますが、私が2世の方が置かれている状況から連想するのは、自死遺族の方々のことです。当山のような田舎でも、私が住職になってから10数名の自死で亡くなった方の葬儀をつとめてきました。鬱病などの心の病の治療を受けていた方もありましたが、遺書を残した方ほとんどなく、多くは突発的に命を絶ってしまい、残された家族も戸惑ってみえる場合が多いです。

 葬儀を終えると、七日参りとして一週間ごとに複数回ご自宅の仏前にお参りさせていただきます。お勤めをした後には10分程度の短い法話をして、ふだん仏法の話を聞く機会がない方に対してお念仏の教えが決して生活と無関係ではないことを伝えようと試みているのですが、自死遺族方の家庭では、何を言っても上滑りしているような雰囲気で、言葉がぜんぜん相手に届いていない感覚を味わうことが多いです。

 また七日参りの場では、これまでほとんど自死した家族のことを話題に遺族の方と語り合ったという経験がありません。むしろご遺族は、なるべくその話題にならないようにしている感じでした。中にはわざと明るい雰囲気を醸し出したりする場合もありました。

 そんな中で、ご遺族はいったいどういう心境なのかを知りたいと思い、図書館で自死に関する本を借りて読んでみました。その中で、「あしなが育英会」から出ている『自殺って言えなかった』という本が印象的でした。そこには自死遺族は、親御さんを失った哀しみだけでなく、他の死別とは違うさまざまな苦悩も一緒に背負い込むことになることが綴られていました。中でも、親にとって自分の存在が、自死を思いとどまらせるほどの重さもなかったという事実が突きつけられたことは受けとめがたく、自分を大事にすることもできにくくさせるというようなことが書いてありました。

 「あしなが育英会」では、自死遺児に対して就学支援をするだけでなく、夏休みにキャンプを催したりして心の部分でも応援するような取り組みをされています。このキャンプでは、少人数のグループで活動し、夜にはお兄さん、お姉さんに当たる先輩格の方(この方達も自死遺児です)がリーダーとなって座談会がもたれるそうです。

 自死遺児たちは、そこで初めて自分と同じ境遇の仲間に出会い、本音で自分の思いを口にしたり、仲間の話に耳を傾けることによって、自分を見つめ直し立ち上がっていく勇気を与えられる事も多いと書かれていました。この本を読んで、私が一方的に話していたことが上滑りしてしまうのは当然だったと思いました。七日参りの場には、安心して自分をさらけ出せるような信頼関係がなかったということに思いいたりました。

 宗教2世問題でも、安心して自分の意見を言えるには、そこに自分と同じような苦悩を抱え、頑張っていこうとしている仲間を、見出せるということが大きな力となるのではないでしょうか。大事なのはやはり信頼関係だと思います。その意味で、「宗教2世ホットライン」という場は、大切な役割があるように思います。

 「宗教2世問題と支援の展望」を観ると、宗教から離れたいと思いながら、なかなか決断できないという方も少なからずおられ、そのことを自分の言葉で表明されていることは、同じ悩みを持っている仲間に勇気を与えるに違いないと思います。ぜひご覧になることをおすすめします!

宗教2世ホットライン
元統一教会2世の渡辺みきさんが運営されてます。

宗教2世問題と支援の展望
[宗教2世ホットライン]にあるアンケートの分析動画です。


Wの悲喜劇 エホバの証人を脱会した人たち
タレントのSHELLEY、江川紹子、『解毒』の坂根真美らによる座談会動画



映画『星の子』(2020年10月公開)
 宗教2世の女の子を、主演の芦田愛菜さんが演じています。

映画『星の子』を観てきました。
 レイトショーで『星の子』を観てきました。主人公の中学三年生の女の子ちひろ(芦田愛菜)の視点で、新興宗教に傾倒する両親(永瀬正敏、原田知世)や、宗教を嫌い家出してしまう姉、学校の先生や友だち、宗教を止めさせようとする伯父(大友康平)との関わりが描かれています。

 もともと不器用で優しい父親が、赤ん坊の時に病気がちだったちひろの健康を願って入信したこともあり、ちひろは両親の愛情を疑うことはありません。学校にも宗教団体が販売している宇宙のパワーを閉じ込めた水を持って行くなど、両親の宗教活動を受け入れるような優しい娘に成長しました。ちひろと違い、ある程度大きくなったタイミングで両親が入信してしまった姉は、いかにも怪しい両親の宗教を嫌っています。

 ネタバレになりますが、私が印象に残ったシーンは、母の兄(大友康平)が、妹夫婦の目を覚まさせるため、夫婦が大事にしていた宇宙のパワーを閉じ込めた水の入ったペットボトルの中身を公園の水と入れ替えて、思い込みに気づかせようとする場面です。

 ちひろの姉も、伯父の作戦に協力していたのですが、中身を入れ替えられたことを知り激怒した両親の哀しみを見て、ハサミを突きつけて伯父を追い出します。

 自分も伯父の立場だったら、きっと同じように、おかしな宗教に騙されている妹夫婦に対して、同じような行動をとってしまっただろうと思いました。

 宗教団体に献金してしまい、家がどんどん貧乏になっていくというのは大きな問題で、親族など近い関係の人ほどほってはおけないと思うのは当然です。しかしだからといって一方的に正義を押しつけ強引にやめさせるのも無理があるかも知れないと思いました。

 対照的に、ちひろの幼なじみの女の子の、ちひろに対する接し方に、この問題の解決の糸口があるかもしれないと思いました。彼女はちひろの家の宗教のことを、「怪しい宗教に入っている」と面と向かってちひろに言います。宇宙のパワーを閉じ込めた水も「一口ちょうだい」と言って飲んで「まずい。この水って高いんでしょう?私ならオレンジジュースの方が良い」とぶっきらぼうに言いますが、それはそれとして一人の友だちとして普通に接しています。

 ホームルームの時に、ちひろが淡い恋心を抱いていた教師に、みんなの前で宗教のことでひどいことを言われた時には、「あいつ、性格悪いね」といってさりげなく寄り添ってくれて、見ているこちらも救われたような気持ちになりました。

それにしても、難しい役柄をみごとに演じきった芦田愛菜はさすがです。ぜひご覧ください。  (2020/10/24)

当事者に聞く「マインドコントロール」の実態

当事者に聞く「マインドコントロール」の実態
(2020/12/23)


  先日、abema.TVの“報道リアリティーショー”というネット番組で、マインドコントロールに焦点を当てた特集が組まれました。当山のHPのカルト問題の一連の記事では、主に宗教について書いてきましたが、番組では、悪徳マルチ商法に関わってマインドコントロールされてしまった過去を持つ当事者の方の体験を元に、普通の生活をしている人が、いったいどういう経緯でマインドコントロールにはまってしまうかを考察しています。レギュラーコメンテーターの“2ちゃんねる”創始者のひろゆき氏、ゲストに日本脱カルト協会代表理事の西田公昭氏が出演しています。

 印象的だったのは、誰でもマインドコントロールにはまってしまう“タイミング”というものがあるという話題でした。何かのきっかけで、自分の生き方に不安を感じたり、自分に対し否定的な感情を抱くということが誰にでもあると思いますが、そういう時に自分のことを気にかけてくれている様子で近寄ってこられると、人はなかなか逃げられないというのです。体験者の場合、職場のパワハラで精神的に追い詰められ、たまたま知り合いになった女性に相談しているうちにいつの間にか、カルト団体に取り込まれてしまっていたそうです。

 また多くの人が利用しているSNSも、普通だったら知り合いにならない生活圏の人と簡単に友だちになれたり、ネット上という気安さで本音を言いやすかったりするので、カルト団体からすれば、勧誘の対象を見つけやすいということもありそうです。


 じつは先日、現在タイに住んでいるという女性の方からメールでお問合せをいただきました。彼女は、ネット上で行われている海外在住の日本人向けに企画されたセミナーに参加されたそうで、これまでは無料だったけれども、今後は有料の講座になるという切り替わりの時期に、実はこの講座の主催者はある宗教団体に関わっていることを告げられ、不審に思ってネットで調べ、当山のHPを見つけてメールをしてくださったのだそうです。外国で心細い思いをしているであろう人をターゲットにするとは、目の付け所がいいなと感心した次第です。


 他にも、若い人なら大学受験を終えた時期、女性だと子育てが一段落した50代くらい、男性の場合は定年を迎え、何をしたらよいかまだ定まっていない時なども、目標を失ったり不安を感じるタイミングに当てはまるでしょう。また昨今のコロナ禍も、人とのつながりを分断するので、多くの人が不安を抱く要素だと思います。そうなるとこの問題も決して他人事ではないですね。カルトへの勧誘の手法は、日々進化しているなとあらためて思いました。

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